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日本酒の復活
今年も10月1日の日本酒の日に合わせて、全国各地で「日本酒で乾杯」を推進するイベントが行われて大きな盛り上がりを見せた。洋酒に押されていた日本酒であるが、ここのところ復活の兆しを見せている。日本食ブームの影響もあり海外でも日本酒の人気は年々高くなっていると聞く。しかし、乾杯となるとなぜか「とりあえずビール」ということになってしまう。近頃ではチューハイで乾杯する若者も増えているという。
 
盃のやりとり
現代の乾杯は幕末から明治時代にかけて、西洋人と肩を並べるために必要に迫られて普及してきたのだという。推進したのは軍部である。海軍と陸軍では微妙に形式が違っていたが、いずれも一斉に皆で酒を飲みほすことでお互いの絆を強化することを旨としていた。こうした乾杯には日本酒でなく、ビールやシャンパンがふさわしかった。日本酒にも伝統的な乾杯の形式はあったが、それは一斉に飲みほすということではなく、杯を共有することによって絆を深めることにあった。そこに集う人たちが同じ杯で酒を酌み交わすことで心を通じさせていったのだ。 今は一般的ではなくなったが、日本の酒席での独特な風習として「盃のやりとり」があった。「献杯」「お流れ頂戴」「ご返杯」などと言われるものだが、最近はあまり聞かなくなった。「献杯」とは目下の人が目上の人に盃を献ずるこで、目下の人が目上の人から盃をいただくときは「お流れ頂戴」と言った。昔の宴席には盃を洗う「杯洗」というものが用意してあり、その都度盃を洗っていた。今では特別な席でなければ目にすることもない。盃のやりとりそのものが一般的でなくなったからである。
 
盃事について
「盃事」という言葉がある。血縁のない人たちがお互いの関係をより強固にするために盃をとりかわし、約束を固めるのである。神道の結婚式では夫婦となる男女が神前で3種の盃を用いて酒を飲む三々九度が行われるが、このとき列席した親族たちも、一つの盃で順に酒を回し飲みしていった。これが親族固めの儀式である。かつて盃事は公な儀礼だった。日本は契約社会でなかったと言うが、盃事は書面には表されないものの、神を前にしてのりっぱな契約であり約束ごとだったのである。
さて「日本酒で乾杯」を推進している人たちは、もちろんここまでの厳格さを求めているわけではないが、日本に盃事を通して絆を深めていた文化があったことは記憶にとどめておきたいものである。
 
 
 
 
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