TOP特集新製品・新技術歴史を見たマテリアル【新】こんなところにアルミ・銅
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 伝統的な技術を担う若手社員

小野工業所は昭和2年の創設以来、日本中の神社、仏閣、美術館、公共施設などの伝統的な銅葺屋根の建設から修復までを行ってきた。社員として働く職人(技能士)の数は板金会社としては日本一であり、最近は若手職人の育成に力をいれている。ベテラン職人のもとで、20代、30代の社員が熱心に学び、伝統的な技能の習得に努めている。千葉県市川市にある小野工業所の作業所を訪ねると、若手の職人たちが屋根の棟の両端に魔よけとして取り付ける鬼飾りを製作しているところだった。

 
 鬼飾りに使われる銅

屋根葺き用の銅板とは異なり、鬼飾り用の銅板はメーカーからなましてある状態で仕入れている。なましていない銅板を仕入れてバーナーでなます方法もあるが、メーカーでなますのとは熱量が違うので均一にならないのだという。ベニア1枚分の大きさの銅板から、鬼飾りに必要な大きさを切り取る。それを加工しやすいようにさらに焼きなましていくのだ。銅という金属の良いところは、なますと柔らかくなり加工しやすくなることだ。しかも、何度も焼きなますことができる。鬼飾りの完成までに、凹凸の深さなどの形状にもよるが平均して3回~4回はなますのだという。

 
 
鬼飾りに使われる焼きなまされた銅板   バーナーで加工する部分を焼きなます   
 
 
 鬼飾りの製造工程

焼きなましを終えた銅板を鬼飾り用の木型にはめて打ち出していく。木型に合わせて打ち出していくといっても、ただ叩けばいいというのではない。凹凸が深くなると当然そのまま打ち出していくと銅板は薄くなってしまう。だから薄くならないように、周りの銅を打ち出しながら薄くなる部分に集めていくのである。こうした作業は永年の経験がなくてはできない。鬼飾りができるようになるには10年以上の修行が必要だそうだ。

 
 
鬼飾り用の木製の型               型に銅板を乗せて打ち出す  
 

 
丸く打ち出していくための工具         だいたい一つの鬼飾りを完成させるまでに小さい物で3日、
                       大きいもので10日以上かかる場合がある
 
 
 
完成が近い鬼飾り               鬼飾りの完成  
   
   
鬼飾りが設置されたところ      
 
 
 銅葺き屋根用銅板の加工

銅板は伸縮性・加工性が高く、大気中で保護膜を形成して高い耐久性を持つことから、古くから屋根材として使われてきた。市川工場では銅葺き屋根用の銅板も加工している。

 
作業所全景
 
 一文字葺き(平葺き)と段葺き

一文字葺きは銅板による代表的な葺き方で、一枚一枚の銅版を馳(はぜ)組で連結し屋根に固定していく方法である。仕上がりが薄く、シンプルで美しい印象を与える。段葺きは、野地板を段差をつけながら張り上げた上に銅板を葺く工法で、重厚な印象を与えている。市川工場では、屋根用の銅板を決められた規格の大きさに断裁するとともに、銅版をつなぐ馳組の加工も行っている。ここで加工された銅板を現場に運び、熟練した職人が一枚一枚葺いていくのである。文字どおり始めから終わりまでハンドメイドである。

     
 
一文字葺き(平葺き)の構造                 段葺きの構造  
     
 
馳加工の道具                馳の組み方  
     
   

最初から緑青を付けた銅板が使われていたこともある

   
     

小野工業所では16年前から新卒の職人を定期的に採用することになった。技術を伝承するためには、社員として採用し、技術を伝えていく必要があると考えたからだ。親方(ベテラン技能士)の元で修行を積んだ若手技能士が、またその次の代に技術を継承していく。小野工業所の小野友子社長は、そうした若い社員たちが育っているのがとても心強いと話してくれた

取材協力
㈱小野工業所 東京都墨田区石原4丁目12番1号
 

 
 

 

 
大國魂神社(東京都)の拝殿          銅板段葺きである
 
 

 

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