TOP特集新製品・新技術歴史を見たマテリアル【新】こんなところにアルミ・銅
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モンちゃん:
明けましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいします!!
 
アンサー氏:
こちらこそ、よろしくね。今年もいろんなことを一緒に学んでいこう。ところでモンちゃん、今年の目標は何か立てたかな。
 
モンちゃん:
そうですね〜、今年は何か資格をとりたいですね。それから、ITについてももっと詳しくなりたいなぁ。
 
アンサー氏:
ちゃんと考えてるね、えらいえらい。
 
モンちゃん:
う〜ん、実は去年ボーナスで買ったパソコンをもっと活用したいなぁって…。今、インターネットぐらいしか使っていないんでもったいないでしょ。
 
アンサー氏:
そういえば、去年、持ち運びに便利なパソコンを買ったって自慢してたね。
 
モンちゃん:
薄くて、軽くて、とってもコンパクトなんですよ。ほら、オープンカフェとかでコーヒー飲みながらパソコンで仕事してる女性とかカッコイイじゃないですか〜。
 
アンサー氏:
なるほど、そういう姿に憧れていたわけだね。モンちゃんも、早くそんなビジネスツールをカッコ良く使いこなせるように努力しないと。さて、今回のお話は、そんなビジネスツールの進化に貢献している銅合金技術がテーマだよ。モンちゃん、今までも勉強してきたことがあるけど、リードフレームは知っているよね?
 
モンちゃん:
半導体パッケージに使われているものですよね。
 
アンサー氏:
そうだね。リードフレームは半導体素子を支持固定するダイパット部と外部配線との橋渡しをするリード部からできている。
 
 
▲半導体パッケージの構造と製造工程
 
 
モンちゃん:
そのリードフレームの素材となっているのが銅合金なんですよね。
 
アンサー氏:
その通り。リード部にはかなりの強度が必要とされていて、以前はダイパットに乗せてあるシリコンチップとの熱膨張係差が少ないという理由で鉄-ニッケル系素材が多く使われていたんだが、銅合金の方が導電性と熱放散性が優れているということで、今はこちらが主流となっているのさ。
 
モンちゃん:
リードフレーム用の銅合金といえば、神戸製鋼は得意中の得意なんですよね。確か、いろいろな高性能銅合金開発の先駆者なんでしょ。
 
アンサー氏:
おお、よく知っていたね。もともと神戸製鋼では銅と黄銅のシートやコイルを製造していたんだが、1976年にそれまで熱間圧延が難しいと言われていた銅・ニッケル・錫系合金のCDA72500合金を熱間圧延方法で量産化することに成功したんだ。そして、さらに優れた特性のCAC92合金の開発に成功。これは、現在板厚0.1〜0.11mmtのミニトランジスタ用の標準合金となっているんだよ。
 
モンちゃん:
今から29年も前から業界をリードしていたんですか。
 
アンサー氏:
でも、翌年の1977年にはもっと画期的な合金を開発したんだよ。それが、現在は世界標準品ともなっているKFC(Kobe Ferrous Copper)なのさ。
 
モンちゃん:
KFC!リードフレーム材としてポピュラーな神戸製鋼オリジナル銅合金ですね。
 
アンサー氏:
KFCは銅母材に微量の鉄とリンを添加した析出型の銅合金。強度と耐熱性は純銅の1.5倍、導電率は90%IACSと、純銅系銅合金の中では強度も導電率も抜群のバランスを誇っている。
 
モンちゃん:
純銅と同じぐらいの導電率で、しかも強度や耐熱性もあるなんて、まさにリードフレームが求めていた素材というわけね。開発当時は、さぞかし注目されたんでしょうねぇ。
 
アンサー氏:
そりゃ、もちろん!しかし、製造開始当初はめっき性や平坦度、表面疵の品質問題も多発して、なかなか良品ができなくてそれはそれは苦労したんだよ。それほどリードフレーム材の要求していることが厳しかったんだね。
 
モンちゃん:
そうですかぁ。当時のスタッフは想像できないほど大変な努力をしたんだろうなぁ…。でも、その苦労があるから、今の成功があるんですもんね。
 
アンサー氏:
そういうこと!このKFCは、現在は神戸製鋼の特許が切れているので、類似製品が他社でも製造されているんだ。同等品の生産量は世界中でなんと推定約5,000t/月で、神戸製鋼ではそのうちの2,000tを製造しているんだよ。
 
モンちゃん:
神戸製鋼のオリジナル銅合金KFCが、今や世界のKFCに!その存在価値は大きいですね!
 
 
モンちゃん:
ところで、こうした合金の開発ってどのようにスタートされるんですか。
 
アンサー氏:
神戸製鋼では、長府製造所の研究部門による基礎研究開発から始めるんだよ。
 
モンちゃん:
いちばん最初は、何から始めるんでしょう。
 
アンサー氏:
まず合金開発のターゲットを設定するために、マーケット動向、ユーザーニーズ、他社材の特性、ユーザー評価の調査から始めるんだ。それでターゲットが定まったら、合金の組成から実製造工程を想定したプロセスを研究設備で試作して、いろいろな特性を評価する。
 
モンちゃん:
ターゲットにぴったりくる特性を探っていくんですね。
 
アンサー氏:
そう、それで特性が得られたら、今度は工場で実機による試作をして、基礎研究のデータを元に各工程の製造条件を検討およびテストをするんだ。こうして最適な製造条件を見つけていくんだよ。
 
モンちゃん:
実機による試作は大切なんですね。
 
アンサー氏:
基礎研究だけではわからないことがあるからね。例えば、実機による表面性状なんかは基礎研究では試作できないし、量産化に漕ぎ着けるまでにはいろいろ改善していく必要があるんだよ。
 
モンちゃん:
こうして開発されてきた銅合金って、どういうものがありますか。
 
アンサー氏:
そうだな、例えば大電流用に使用されるパワートランジスタに使われる異形断面のフレーム素材とかね。KFCに錫を添加してさらに強度をあげたKLF-2,KLF-4,KLF-5,KLF-7の開発や、1981〜84年にかけては、当時熱間圧延が不可能と言われていた銅ーニッケルーシリコン系のコルソン合金KLF-1を、世界で初めて熱間圧延方法での量産化に成功させたりしたよ。
 
モンちゃん:
へぇ、不可能だったものを、可能に?すごいですね。
 
アンサー氏:
KLF-1に関しては、研究試作で何度熱間圧延しても割れが発生するんで一時は量産化を断念しかけたんだ。でも、試しに工場で熱間圧延してみようとテストしたら、これが何となんの割れも発生せず、製品化できたというエピソードがあるんだ。
 
モンちゃん:
ダメもとでやってみたら成功したんですか!諦めずにやってみるべし、ですねぇ。
 
アンサー氏:
その後、実用化するために技術スタッフが連日徹夜で溶解、鋳造、熱間圧延のテストを繰り返したらしいけどね。それで、1983年頃には量産化にこぎつけたんだよ。
 
モンちゃん:
まさしく努力の賜物だわ。
 
アンサー氏:
その後、さらにKLF-1に錫を添加して強度をあげたKLF125も開発して、神戸製鋼は合金において業界をリードするようになり生産量もグンとアップしたんだよ。
 
モンちゃん:
開発されたリードフレーム用素材はどこで生産されているんですか。
 
アンサー氏:
溶解・鋳造から熱間圧延・熱処理などを経て、最終工程のスリッターまで長府製造所の銅板工場で一貫生産されているよ。
 
モンちゃん:
ユーザーにはどんな形で納品されるのかしら。
 
アンサー氏:

リードフレームメーカーのプレス金型またはエッチングラインにあわせた要求幅にスリットしたものをコイル状に巻いて供給しているんだよ。その製品板厚はIC分野で0.1〜0.25mm、ディスクリート分野で0.25〜0.7mmとなるんだよ。

 
 
▲リードフレーム用銅合金の製造工程概要 (代表例)
 
 
モンちゃん:
薄いですねー。いろんな電化製品はどんどん小型化が進んでいるから、これからももっと薄くなっていくのかなぁ。
 
アンサー氏:
そうだね、リードフレームの小型化、多機能化が進むにつれ、素材にはもっと強度や導電率の高い、さらには材料内部の残留応力を極力少なくするといった高いレベルの特性が求められているよ。
 
モンちゃん:
当然、コスト面での要求もあるんでしょうね。求められるのは“安くて、高性能”、やっぱりこれですよねぇ。
 
アンサー氏:
そうだね、他にも低コスト化と汎用性を重視した合金の統合化の要求もあるよ。今後も業界で伸びていくためにこれからポイントとなるのは、さらなる合金開発とともに東南アジアや中国に集中しつつある半導体の製造工場に、いかにタイムリーに供給できる体制を整えていくかじゃないかな。それが、今後の展開のカギになると思うよ。
 
モンちゃん:
今回は、製品開発には粘り強さが大切だということがよ〜くわかりました。今後も神戸製鋼の新たな銅合金の開発に期待したいと思います。
 
 
 
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