日本の師走は忙しい。一年を締めくくる月として、一般的な仕事や家事などでやることが増えてくるというのもそうであるが、街の雰囲気がいろいろと変わるというのも何となく気持ちが落ち着かなくなる理由であるような気がする。25日まではクリスマスカラー一色であった街も、それを過ぎると一挙に正月を迎える体制となる。例えば、ショーウィンドーなどのデコレーションも西洋ムードだったものが日本文化あふれるものへと一変する。そして、人々の気分も“ケーキを囲んでパーティ”から“お節料理を食べて、初詣へ”と、なる。日本のクリスマスは西洋でのそれと違い、宗教的行事というよりもむしろイベント感覚ではあるが、それでもキリストの誕生日というのは誰でも知っていることだ。それが、一週間もすると極自然に神社や寺へ足を運び手を合わすというのも面白い。そんな日本人は節操がないと言う人もいるが、どちらも平和や幸せを願うひとつの切っ掛けとなっているのであれば、それはそれで良いのではないかと思う。

 さて、普段はあまり神社や寺へ行かないという人も、初詣だけは欠かさず行くという人も多いのではないだろうか。初詣は字の通り新年のいちばん初めに詣でることである。したがって大晦日から寺社の前で待機し零時になると同時に参拝することもあれば、元旦の混雑を避けて出かけることもあるというふうに人によって違い、普通は三が日か七日までの松の内に済ませた場合初詣となる。しかし、今日では多忙な人も多くなったせいか、寺社によってはさらに日程を延長し、一月いっぱいぐらいまで初詣期間を設けているところもあるようだ。

 初詣は、昔一家の主が大晦日の夕方から翌朝まで氏神の社にこもり新年を迎えたという「年籠り(としごもり)」という行事が由来となっているという説のほか、その年の恵方(えほう)にある寺社を詣でる「恵方詣」からきたものだという説がある。恵方には、その歳の歳徳神(としとくじん)がいて災いが来るのを防ぐとされているが、この歳徳神説は陰陽道の影響を大きく受けている。恵方はその年の全てにおいて大吉の方向となるため「明け方」とも呼ばれ、恵方詣は江戸時代に盛んに行われていたようだ。ちなみに恵方はその年の十干(じっかん)によって決まるが、今年2005年は乙年(きのと)であり、庚(かのえ)すなわち西南西となる。また、初詣には七福神を巡る七福神詣も人気が高い。七福神信仰は江戸初代将軍の徳川家康が広めたと言われ、江戸時代に流行した。七福神を祭った寺社は日本各地にあり、通常七人の神のうちそれぞれ一神ずつ祭っている。その寺社を巡り全七神を詣でるのは、達成感もあり、なかなか楽しいものである。

 新年を迎えると気分も新鮮になり、素直な気持ちで一年の幸せを願えるものである。今年、初詣に行き損ねたという人も、ぜひ近くの寺社を訪れてみては。新しい年を見守ってくれる神仏は、少しぐらい出遅れても、それぞれの初詣をあたたかく迎えてくれるにちがいない。

 
 
 
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