雪に映える真赤な果実
気温が下がってきたと思ったら、夜のうちにずいぶん雪が降り積もったようだ。晴れたら「雪うさぎ」でも作ってみよう。楕円形に固めた雪玉をつくれば、あとは目と耳を付ければ雪ゆさぎの完成だ。
この雪うさぎのかざりに欠かせないのがナンテンである。赤いナンテンの実はうさぎの目に、緑の葉は耳に。真っ白な雪に、ナンテンの赤と緑はなんと美しく映えることだろう。

ナンテン(南天)は、晩秋から初冬にかけて赤色の小球形の果実をつける常緑低木である(白色の実をつけるものもある)。色に乏しい冬の庭を彩る真赤な実、雪景色のなかでいっそう映えるその姿が親しまれ、庭木として利用されてきた。
 
難を転ずる、縁起の良い木
ナンテンは、音が「難を転ずる」に通じることから、縁起の良い木とされる。正月には門松や床飾り花材に用いられる他、魔除け・厄除けとして鬼門に植栽することも多く、「不浄を清める」という意でお手洗いの近くに植える人もいる。

ナンテンは木として扱われているが、実は木と草の中間的な性質を持っている。通常の木であれば、幹の形成層で細胞がつくられ太くなっていくが、ナンテンはこの形成層を持たない。このため細胞の壁が厚くなり木化しているだけなのである。木化した茎を持つ植物とでもいうべきだろうか。幹(茎)は緻密で丈夫なため、箸などに利用されたりもする。また太い幹は珍しいため、床柱として珍重されている。特に有名なのは京都・金閣寺の夕佳亭という茶室の床柱に使用されている。「南天の床柱」と呼ばれ、ナンテンの木の自然な形を生かした趣のある柱となっている。
 
のどにやさしいナンテンの薬効
ナンテンは縁起が良いだけでなく、実際に良い効果、作用をもたらす。まず、その葉は防腐作用がある。ナンテンの葉は毒性を持つが、微量であるため人体に危険性はなく、殺菌効果を発揮する。このため昔から、赤飯にのせたり魚料理にナンテンの葉が添えられてきた。

そしてナンテンの効果としてよく知られているのが咳き止めである。漢方では乾燥させた実を南天実と呼び咳き止めに用いられている。このナンテンの咳止め効果は科学的に証明されており、ナンテンの実には「ナンテニン」というアルカロイドが含まれ、これが気管平滑筋(気管周囲に存在する筋肉)の収縮を抑え、緩める。つまり、のどへ直接作用して気管を拡げ、せきを鎮めるのである。

日に日に寒さが増す今日この頃。街ではマスクを付ける人が目立ってきた。ここはひとつ、ナンテンの飴でもなめて、のどのイガイガを潤してみようか。冬本番。ナンテンが最も活躍するシーズンがやってきたのである。
 
 
 
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