今年4月1日、神戸製鋼と三菱マテリアルの銅管事業が統合した銅管製造・販売の新会社「(株)コベルコ マテリアル銅管(略称KMCT) 」が発足しました。同会社は神戸製鋼が55%、三菱マテリアルが45%を出資。国内で約370人、海外で約680人の従業員を擁する銅管専門メーカーです。
 また、市場シェアは国内で約37%という断トツのトップに。東南アジアでの約30%シェアとあわせてアジア最大の銅管メーカーとなりました。
 今回は、今後ますますグローバルな展開を期待される(株)コベルコ マテリアル銅管についてご紹介します。
 
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新会社が設立して半年が経ちましたね。今年は猛暑というでエアコンの売れ行きも良く、良いスタートが切れたのではないでしょうか。
 
そうですね。ただ、そうした一時的な販売環境面だけではなく、我々が懸念していたほどまだ日本の空調市場が縮小していなかったのが良かったと思っています。もともと、この会社が設立に至ったのも、そうした懸念が発端でした。当社の設立以前は、日本の大手銅管メーカーは5社ありましたが、そのお得意先の約7割が空調業界です。つまり、空調需要が低迷すれば、我々も同じ道を辿らざるを得ない。しかも、4年ほどまえからエアコンメーカーがどんどん日本から出ていき、海外で生産して日本へ持ち込むというという、いわゆる“アウトイン現象”が顕著に現れてきたということもあり、近い将来には国内の販売台数のうち、5割ぐらいが輸入エアコンになるのではないかという心配もありました。ある意味で日本の空調市場も成熟していますので、今後は生産も減る一方となり、明らかに需要量と供給能力とのギャップが大きくなる。すると、販売価格も非常に安くなり、厳しい状況になっていくことが予測されます。そこで、これは供給サイドが再編成することが必要であろうということで、神戸製鋼が以前から親しかった三菱マテリアルと“一緒になったらどのような画が描けるか”ということをいろいろ考えて設立した、という背景があります。
 
2つの異る会社がひとつになるというのは 難しいことも多々あると思うのですが。
 
もちろんです。銅管の世界での営業デビューは、神戸製鋼は先発、三菱マテリアルが最後発であり、いわばずっと“守り”をやってきた会社と“攻め”をやってきた会社との違いがあり、同時に会社が持つ社風や培ってきた文化も異なります。会社を一緒にするというのは単に器を大きくするだけではなく、中身を入れ替えたり、形状を変えたりして初めて合理化の効果というのが現れてくるので、その時に異なる部分をどのように統合していこうかという問題がありますよね。やはりそこが一番難しいですよ。ですから、全て納得がいく形になるまでは1年ぐらいはかかるのではないかと見ています。
 
今回の統合で、(株)コベルコ マテリアル銅管は銅管業界の断トツのトップシェアになりましたが、それにより変わったことはありますか。
 
今後はリーダーシップという役割を担っていくという責任がでてきました。例えば、これまではどうしても業界内での価格競争というのがありましたが、我々のようなリーダー誕生でそれが落ち着くのではないかと。つまり、トップメーカーがむやみなディスカウントでシェアを拡げるようなことをしなければ、他からも信頼を得ることができ、全体的に落ち着いた価格レベルが維持されることにつながれば、業界も良くなります。その意味からも、今回の統合は非常に社外から注目されていますし、業界全体に大きな影響を与えており、失敗はできないという責任は非常にあると思っています。
 
新会社となって期待しているのは、どのようなところですか。
 
まず、生産技術です。これまで三菱マテリアルは精錬から合金、加工まで一貫して行う技術を蓄積してきたし、神戸製鋼は加工技術に力を入れてきたという経緯もあるので、両社の技術の特徴を生かしていければと考えています。今、銅の原料自体が非常にコストアップしており、お客様からはなるべく原料の少ない銅管・薄い銅管を作って欲しいというニーズがあります。その当たりの技術的なポテンシャルというのを三菱マテリアルは持っており、そこを新規の目玉にしていきたいという考えはあります。また、エアコンメーカーではますます省エネの追究が進んでいますから、例えば銅管の内部の溝の形状をもっと工夫してさらに熱伝導率が良く、省エネに貢献できるアイテムを提供していくというのもとても大切だと考えています。生産品目の部分では、両社それぞれの特長を最大限活かした形で秦野工場と北本工場での効率な生産を図っていくことになるでしょう。
 
海外展開についてはどのようにお考えですか。
 
先にも言ったように、現在、日本の空調市場は成熟して伸び悩んでいます。では、どこが伸びているかと言えば、やはりアジアです。ですから、タイに一貫工場を持っているというのは、とても大きな特徴となるので、この工場をより充実させていこうと思います。あと、アジアの中でも中国は目が離せないでしょう。おそらくここ2〜3年で中国市場での価格状況も落ち着いてくると思うので、そこを見極めていきたいと考えています。とにかく、マレーシアとタイの工場を持つことで、グローバルネットワークが広がったことは確かです。またヨーロッパでも昨年の猛暑でフランスの死者発生、カーエアコンの標準装備化などもあってエアコンへの認識・需要が増加し、「流れが変わった」との声も出るほどです。KMCTは、ただ単に日本市場が小さくなりつつある今後に向けて設立したということではありません。そういう消極的なことではなく、現在伸び続けているアジア市場に対応するために設立されたのです。ターゲットは世界。アジアのリーディングカンパニーとして、「アジアを中心とした伸びゆく市場の中で、会社も成長していこうという」のがスローガンです。
 
これからの展望をお聞かせ下さい。
 
銅管事業だけを専門にやっている会社は、当社が初めて。原料から、海外工場も含めてすべて完備した会社というのは、かなり希有な存在でしょう。これは、とても画期的です。これまでは神戸製鋼も、三菱マテリアルもそれぞれ大きな会社の中の一部門であり、その立場上依存している部分もたくさんありました。そういう意味では、今までは大きな組織の中にいたのですが、これからは1つの会社としてしっかり基盤を築いていかなければなりません。具体的な数値目標をあげ、なおかつ利益もハイレベルなところを狙っていくというのが課題です。まずは、社員一人ひとりが銅管トップメーカーとしてのプライドをしっかりと持って、一つ一つ課題をクリアしていきたいと考えています。
 
ありがとうございました。
 
■KMCT会社組織
 
副社長
企画管掌

萩野 周二 氏
 
副社長
営業・生産管掌

松吉 昭夫
 
 
 
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