24時間フル操業。活気がみなぎるKAAP工場
 
藤井拓己社長
Kobe Aluminum Automotive Products LLC(KAAP)は、北米自動車市場向けのサスペンション用アルミ鍛造品の生産拠点として、2003年5月にケンタッキー州ボーリンググリーン市に設立された。2005年6月より生産を開始している。
生産品目は、アッパーアームやロアアームなどの自動車サスペンション部品で、アルミ素材(鍛造用ビレット)の製造から鍛造までの一貫生産を行っている。2005年は37万本のサスペンション部品を生産。すでに日系・米系自動車メーカー向けに製品を出荷している。
 
同社の藤井拓己社長は、「2006年はおよそ約130万本の生産を見込んでおり、2008年までには250万〜300万本/年まで増やしていく予定です。この増産計画を進めるため、2006年4月には2基目となる6,300トンメカニカルプレス機を導入しました。さらに2006年末からは3基目のメカニカルプレス機も稼働を始めています」と語る。
 
工場の機械設備
 
6,300トンメカニカルプレス
 
連続鋳造機
ピーリングライン
 
連続熱処理炉
 
現在工場は24時間フル操業。大幅に生産量を伸ばしている。
設立当時20名程度だった従業員は約160名(2006年11月末現在)に増えた。活気ある工場はこんなに明るいのだろうか。
新しい機械はひっきりなしに製品を生み出し、作業する人々の表情は生き生きとしている。
 
1. 原料となるアルミ塊
2. 溶解炉
3. 工場内ではたびたびミーティングが行なわれている
4. 工場内は活気にあふれている
 
 
  軽量化ニーズから高まる需要
創業以来、KAAPの生産量は上昇の一途をたどっている。
これほどの生産量を必要とする米国自動車マーケットは現在、どのような状況なのだろうか。米国における自動車販売台数は年間1600万台におよぶ。日本の市場が年間600万台程度であるから一大マーケットである。現在このビックマーケットでは、GM、フォード、ダイムラークライスラー、トヨタ、日産、ホンダなどがしのぎを削り、競争は激化している。最近の原油価格の高騰を受けて消費者は燃費を重視する傾向にあり、米国人に人気の大型SUVやピックアップトラックの販売にはかげりが見えている。
これに対し、日系メーカーが得意とする低燃費なセダンが好調な売れ行きを見せている。

燃費の向上には車体の軽量化が有効だ。しかし近年の衝突安全性や快適性の向上ニーズに対応し、自動車の重量は機能の充実や車体の拡大などで増加傾向にある。そのため、車体の軽量化は従来に増して大きな課題となっている。
軽量化の効果的な手段として積極的に進められているのがアルミニウムへの代替である。
さまざまな部品でアルミ化が進行しており、サスペンション部品はその代表的なものだ。今後は大型車も含め、いっそうのアルミ化が進展するものと考えられている。
サスペンション用アルミ鍛造品
 
アルミニウムの代替部(サスペンション部)
 
KAAP 2006年度製造品目
神戸製鋼所は日本の大安工場において、独自開発による高強度アルミ合金を使用し、高度な鍛造技術と最新の解析技術を生かすことで、従来の鋼製サスペンション部品に比べ40%の軽量化を実現している。
KAAPはこの大安の技術を生かしアルミ鍛造品を生産しており、従来、鋼製サスペンション部品を使用していたメーカーからつぎつぎと受注が舞い込んでいる。
最近では日系だけでなく米系自動車メーカーからの受注も増えている。日本におけるこの分野での圧倒的なシェアや、それを支える高い技術力、部品の設計提案能力なども評価され、受注増に結びついているようだ。
サスペンション部品
 
コミュニケーションの工夫で技術向上を図る
KAAPは、大安工場で培われた技術を礎に設立された。同社の設立にあたり、日系自動車メーカーはもちろんのこと、ひときわ歓迎してくれたのがボーリンググリーン市だったという。
同社の川名 隆 副社長は、「2006年6月には開所式を行いましたが、地元ケンタッキー州、郡、市からそれぞれ来賓が駆けつけてくれました。また日系・米系自動車メーカーの代表者をはじめ当社の役員など総勢150名が出席し、盛大な式典となりました」と語る。

KAAP工場では、現地スタッフを積極的に採用し、現在、この工場に日本人駐在員は5人である。
この多数の現地スタッフに大安工場で培った技術やノウハウを伝授するため、社員の派遣だけでなく大安工場の作業員も応援出張し、直接指導が行なわれた。
技術を伝えるにあたり苦労したことは言葉の壁だという。細かいニュアンスを伝えたり、相手の言いたいことを完全に理解することは難しい。そのため操業の指導などは文章に記したものや図解を用いながら説明し、また会議などで複雑な話をする場合は誤解がないよう通訳を介して行なわれている。
さらに指示の徹底を図るため、生産の現地化を進めるために、豊富な経験を持つGary Ginter氏を工場長に起用。彼の就任によってスタッフ間のまとまりができたという。今後は現地スタッフを指導できる現地リーダーを育てていくことが重要だと川名氏はいう。

工場内では、頻繁にミーティングを行ない課題に取り組む様子をあちこちで目にした。現地スタッフの目は真剣そのもの。その眼差しをみるかぎり、ものづくりへのこだわりは大安から確実にKAAPに伝わっているようだ。

川名 隆 副社長
   
鋳造担当の蛭川謙一氏。
鍛造用ビレットの製造を指導している
  鍛造担当の長野良治氏。
製品を作りこむ鍛造部門を指導している
  設備担当の棚橋正典氏。
新規設備導入と設備保全の指導をしている
 
 
 
 
 
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