1969(昭和44)、アルミパウチ製ボンカレーは、全国に発売された。
写真提供:大塚食品(株)
 
どこよりも早く、日本で誕生したレトルトカレー
1968(昭和43)年、阪神地域限定でレトルトカレーが発売された。今やお馴染み「ボンカレー」(現大塚食品)である。1個80円で売り出されたレトルトカレーは、世界初となる市販レトルト食品であった。
レトルトとは高温殺菌釜を意味し、袋状の容器に密閉し、高温高圧で殺菌する保存技術である。1950年代から米国で研究が始まった。その後NASAがアポロ計画で宇宙食にレトルト技術を採用したことから多くの食品メーカーが注目した。
そんななかいち早く商品化に成功したのが日本メーカーである。当時、カレー粉やカレー缶詰の普及が進み、メーカー間の競争は激しくなっていた。他社と違ったカレー商品を作りたいという思いからレトルト技術に着目。袋詰めで長期保存ができ、調理はお湯で温めるだけという、これまでにないカレー商品ができないかと考えた。レトルト釜もなければ包装材もないゼロからの開発である。しかしスタートから2年後には販売にこぎつけたというから、保有技術の高さに加え、商品にかける思いは並大抵ではなかったのだろう。
 
アルミパウチで長期保存が可能に
しかし問題もあった。とくに包装材には多くの課題が残っていた。発売当初、包装材は低圧ポリエチレン/ポリエステルの二層構造の半透明パウチを使用していた。半透明のため光と酸素によって風味が失われ、賞味期限は冬で3か月、夏で2か月と短かった。また商品の搬送では、強度不足で落下や振動に弱く破損が生じた。さらに、密封が不完全であったために袋のなかでガスが発生し、突然破裂することもあった。「夜になるとカレーが動き出す(?)」という噂が流れるほどであった。
そこで、登場したのがアルミ箔である。包装材メーカーとの協力により、ポリエステル/アルミ箔/ポリプロピレンの3層構造のパウチが開発された。湿気・酸素・光線などの遮断性に加えて、すぐれた防湿性、保香性、強度を兼ね備えたアルミ箔を採用することで、長期保存を可能としたのである。これによって賞味期限は2年間に延長された。また丈夫なうえに軽量なため流通にも適している。こうして翌年の1969年には、アルミパウチ製のボンカレーが誕生。全国に販売された。
発売当初は、世にも珍しいレトルトカレーに商品の良さがなかなか理解されなかったようであるが、お湯であたためるだけでおいしく食べられる便利さ。一度味わえばその良さはまたたくまに理解され、人気を博した。この商品をきっかけとして、その後多くのアルミパウチ商品が登場した。おかゆやスープ、シチュー、ゼリー飲料、ソース類など多彩な商品に使用されている。優れた特性を兼ねそなえたアルミ箔は今や、レトルト食品になくてはならない包装材として活躍しているのである。
 
 
 
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