↑反射鏡 (C)NASA

↑レーザー光線反射鏡を運ぶオルドリン飛行士
(C)NASA
 
踏み出された大きな一歩
 
1969年7月16日、アポロ11号は月面着陸に成功。この日、人類は初めて月に降り立った。
「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類の歴史にとっては大きな一歩だ」アームストロング船長が発した言葉はあまりに有名である。その言葉は地球にいち早く伝えられ、人々は史上初の偉業にわきたった。人類が待ち焦がれていた夢は、この一歩によりついに現実のものとなったのである。
この歴史的なミッションに立ち会ったミラーがある。石ころだらけの月面に設置されたレーザー光線反射鏡である。
 
月は地球から遠ざかっている!
 
アポロ11号のクルーは、いくつかのミッションを行ったが、そのなかのひとつにレーザー光線反射鏡の設置があった。反射鏡は、観測ステーションからやや離れた場所に設置された。アームストロング船長が撮影した写真には、オルドリン飛行士が反射鏡を手で一所懸命運び、月面に設置する様子が映されている。
レーザー光線反射鏡は、月と地球の正確な距離を測るために設置された。使い方は、地球からレーザー光線を発射し、このミラーに当て地球に戻ってくるまでの往復時間を計測し、その時間から正確な距離を算出するというものである。この観測は1969年から1989年まで続けられた。このおかげで、月が地球を回る公転軌道が変動していることが確認された。そして、年間3.8cmずつ月は地球から遠ざかっていることがわかったのである。
この測定結果は、それまでの月の軌道に関する認識を変え、またアインシュタインの相対性理論の検証にも役立ったと言われている。月面に設置された反射装置にはアルミニウムが使用されていた。月に置かれた鏡は、地球と月との関係を我々に映し出したのである。
 
明らかになる月の姿
 
その他にも、アポロ11号のミッションで明らかになったことがある。
宇宙空間は真空でなにもないと思われているが、実は太陽系空間には「太陽風」と呼ばれる高速の荷電粒子(電気を帯びた小さな粒子)の風が吹いている。太陽風は地球の磁場に影響を与え、オーロラや彗星の尾の出現はこの太陽風が関係していると言われている。
アポロ11号は月面で、この風を捕獲する実験を行った。方法は、アルミ箔シートをポールに備え付けた装置を太陽の方角に向け月面に設置し、太陽から吹き付けてくる粒子を収集するというものだ。この実験により、月のガスは水素分子、ヘリウム、ネオン、アルゴンで構成されていることが明らかになった。
アポロ11号とともに、月に上陸したアルミニウム。銀色に輝く金属は、夜空に輝く月の本当の姿を地球人に伝えたのである。
 
 
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