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厚生労働省が国内の卓越した技能者を表彰する、平成21年度「現代の名工」に長府製造所製板室の田邉充典氏が選ばれました。長府製造所では初となる「現代の名工」受賞者となります。

田邉氏は長年、一貫して銅板の圧延に従事し、なかでも高品質が求められる異形条分野の製造技術に精通し、新圧延技術の確立に貢献しました。

IT分野において必要不可欠であるパワートランジスタやパワーICといったリードフレームの素材として使用される銅及び銅合金の異形条は、製造メーカーによってその製法が異なる独自性のある技術です。当社の銅及び銅合金の異形条の製造シェアは、世界市場で2割、極東地域では3割を占めており世界トップレベルとなっています。
近年の急激な価格下落に伴って収益性が悪化したことから、生産性を飛躍的に向上させる必要がありました。この課題に対して、長年にわたり実現できなかったリバース式圧延に取り組み、材料の送り方法に課題があることをつきとめ、強制「引っ張り」方式から、業界初の強制「送り」方式に変更したことでその可能性をひき出しました。さらに強制送り装置の形状及び圧延ロールの形状等に改良を加えることで、新圧延技術の確立にいたりました。
この新しい圧延技術の確立にあたって、長年にわたり異形条加工に精通し技術改善してきた田邉氏の知識・経験、さらには固定観念にこだわらない逆転の発想とそれを実現できる技能は田邉氏しかできないものであり、その技能は当社の大きな財産となっています。

受賞理由としては、このリバース式圧延技術の確立が挙げられていますが、田邉氏は「神戸の異形条ブランド」を世界第2位まで押し上げてきた事が印象深く、異形条に携わってきた諸先輩方や同僚など、全員の努力が認められ受賞したものと言います。

田邉氏は1983年の異形条製造の立ち上げから携わってきた人物です。異形条は各社独自の加工方法を用いているため、立ち上げは「0」からのスタートであり、参考となる教科書も先生もいない状況で、異形条を育て上げてきました。田邉氏は異形条分野の技術全般において、高い評価と信頼を得ており、職場では自ら率先して指導し、異形条製造の基盤を築き上げた第一人者といっても過言ではありません。

田邉氏は、発生する問題に対しては3現主義を貫き対応していくことが重要といいます。
「3現」とは現場・現物・現実のこと。机上ではなく現場で部下と接しながら指導することを重視しています。
「ものづくりの基本は、やはりなんといっても現場にある。それに携わっている人にある。物をよく観る、オペレーターとよく話をする。これが最も大切であり、今後も実践していきたい」と田邉氏は語っています。

職場では信頼が厚く、担当職場はもとよりそれ以外の職場からも相談を持ち掛けられるなど、誰からも慕われる人物。すべての改善は、個ではなくチームが協力して成し得る事ができるという田邉氏の信念が人々をひきつけています。
田邉氏は2000年より係長として製板室(異形条を含む)全体を担当し、現在は異形条担当スタッフとして、異形条のさらなる発展と後輩の育成を中心に活動しています。
 
田邉氏の受賞コメント

このたびは栄誉ある章をいただき、身に余る光栄と深く感謝しております。
今回の受章は異形条を代表していただけたものと思っており、今後はこの章に恥じぬよう、これまで以上に精進し、職場の発展のために尽力する所存です。
 

同時受賞となった大安工場の和田氏(右)とともに
 
 
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