当社と神鋼アルコア輸送機材株式会社(以下 KATP)は、トヨタ自動車株式会社(以下 トヨタ自動車)と共同で、歩行者傷害低減への配慮を目的としたアルミ製ボンネットを開発しました。既に昨年12月に発売された新型クラウンに採用されています。軽量化を目的に自動車用素材として序々に採用が拡大しているアルミ材ですが、事故発生時の歩行者に対する衝撃を緩和する構造を付加することで、軽量化のみならず安全性の向上にも貢献します。

 近年、交通事故による年間死亡者数は、シートベルト着用率の向上や取締りの強化などにより減少傾向にあります。しかし依然として死亡者に占める歩行者の割合は約3割あり、そのうち頭部の損傷を死因とするものが約半数以上に上っていると言われています。こうした頭部に致命的な損傷が加わる要因の1つに、自動車のボンネットを介したエンジン部分との衝突があります。

 ボンネットは、アウター(外板)材とインナー(内板)材の2枚の板から出来ています。2枚の薄鋼板をアルミ化し、インナー材の形状を、これまで一般的だったビーム(骨組み)構造から、世界で初めてとなる波型構造としました。この構造により、従来の薄鋼板を使用したボンネットと同じ部材強度を保ちながら、事故発生時の歩行者傷害の低減と、部材の軽量化を同時に実現しました。
この度、共同開発したアルミ製ボンネットは、歩行者の頭部とボンネットとの衝突エネルギーを波型構造インナー材が吸収して、エンジン部分への頭部の衝撃を緩和します。これまでのビーム構造では、ボンネットの局所でしか衝撃を吸収することが出来ませんでしたが、この波型構造ではボンネットのより広い面積で吸収出来るようになりました。(補足資料参照

 国土交通省は道路運送車両法の保安基準の改正により、05年度から新たに市販される新型車種から、ボンネットに衝撃吸収性能を持たせることを義務付けようと計画しています。こうした状況に対応して、自動車メーカー各社では、ボンネットの衝撃吸収性能の向上について研究・開発が進められています。
当社は、押出材(バンパー・ドアインパクトビーム用など)、鍛造材(足回り部品用など)、そしてKATPと共同で板材(ボンネット・トランクリッド用など)と自動車用アルミ材に関して幅広く研究開発を進めて来ました。材料開発のみならず、従来の素材メーカーの枠を越え、設計・構造解析シミュレーションを用いることで、自動車メーカーのニーズに対して最適な提案を行い、実用化に貢献してきました。このたびの歩行者傷害低減性能に貢献するアルミ製波型形状も、その代表例の1つです。当社は自動車用アルミ材のトップメーカーとして、自動車メーカー各社でニーズが高まると考えられる歩行者傷害低減性能などに対し、トータルソリューションの提供により、今後もアルミ化の促進と採用の拡大を目指します。
 
 
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