株式会社神戸製鋼所アルミ・銅製品販売網機関紙

 
Back No. に戻る
 
扉ページへ 前のページ次のページ
 

 
 抽象の庭園

メイン作品「H_edge」の下を良くみると、ジグザグ模様が床面に描かれている。
これは素数の数値の差を図案化したものという。素数は3、5、11、13という、それ以外の数字で割り切れない、算数における原子のようなものだ。
また壁面にも模様が流れるように記されている。
これは「すべての偶数は二つの素数の和である」という仮説を図案化したもので、偶数をつくる二つの素数の組み合わせをすべてプロットすると、美しい配列が現れる。
そして流れる素数の模様のなか、白黒一対の巨石が置かれている。
巨石は自己相似形をしたさまざまなスケールの四面体が組み合わされつくられている。巨石には白い光や鏡のラインが入っているが、この線はかたちをつくりだすアルゴリズムを表している。

H_edgeを含めてこれらは何を表現しているのだろうか。
「H_edgeは洞窟、素数の模様は川を表現しています。白と黒の巨石は山を表現しています。私の解釈する自然の世界を、私の視点で創っているのです」とバルモンド氏は語っている。
美しい作品は山であり川であり、洞窟であり、自然だったのだ。ひとつひとつの作品をばらばらに見ていたら理解できなかったかもしれない。しかし、自然のイメージ→幾何学模様や数式の抽出→ある秩序にもとづいて作られた最終的なかたちと進む一連の流れを体験すると、バルモンド氏の建築構造へのアプローチ方法がわかってくるような気がする。

会場で、作品を眺めている来場者の表情が考え深げだったのが印象的であった。
まさにバルモンド氏が意図する「感覚を研ぎ澄ませ身体で考える」構成になっているのではないだろうか。


H_edgeは洞窟を表している。
 
床模様は素数による川、壁は風。



《Danzer(ダンザー)》2010
提供:東京オペラシティアートギャラリー
 
扉ページへ 前のページ次のページ
 
copyright (C) kobelco all rights reserved.