株式会社神戸製鋼所アルミ・銅製品販売網機関紙

 
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 美しい奇跡の立体作品

幾何学模様や数学的な成り立ちを示す作品を通り過ぎると、ひと際目をひく作品《H_edge(ヘッジ)》が現われる。

無数のH型のアルミプレートが連続的に連なり、きらめく立方体をつくっている。

まるでたった今、鳥の大群がひとところにわっと集まって、形をつくったような印象だ。

作品の内部に入ると、硬質な金属が密集していながら、不思議と圧迫感はない。生い茂った木のなかにいるような心地になる。

効果的にライトアップされた照明によって、壁にはH型の影が浮かび上がっている。その様子は鳥がはばたいているようにも見える。しばらくするとそこから遠くへ飛び立っていきそうな、軽やかな陰影を持つ作品である。

驚くのは、この作品の成り立ちである。
7000枚のH型のアルミプレートと2,500mのステンレスチェーンのみで構成されていて一見、チェーンが天井から吊り下がっているように見えるが、そうではない。信じがたいが、チェーンは自立しているのである。
組み立てる際に張力を与えることでチェーンが1mm伸ばされ、そこにアルミプレートがはめこまれている。チェーンのみでは自立しないし、アルミプレートのみでも自立はしない。相互作用によるプレストレスによって、吊り下げることなく、いっさいの補強なしで自立しているのである。作業は大学生のボランティアを中心に、9日間製作に費やしたという。

アルミプレートの材料は神戸製鋼所の真岡製造所で製造されたものが使用された。板厚は2mm、アルミ合金の種類は5052合金。H型への加工は神戸製鋼グループのニコーアルミ工業が行った。

この作品についてバルモンド氏はこう説明している。
「チェーンを非常に強い力でのばし、その間にアルミプレートを差し込むことでチェーンを吊ることなく、自立させています。単独では不安定なものが、規則的に組み合わせお互いに支えることで自立させることができるのです。奇跡のような作品と思っていただけると思います。チェーンはテンション(緊張)、アルミプレートはコンプレッション(圧縮)の象徴として使用しています。まるで木のようなものです。テンションは力を得て木が立っている様子、コンプレッションは地中の根を指しています」
 
《H_edge(ヘッジ)》2010
提供:東京オペラシティアートギャラリー



内部の様子。(英語の)hedgeとは生垣や境界の意味。生い茂った木のなかにいるよう


チェーンは自立している。
H型アルミプレートは打ち抜き加工されている

     
アルミプレートの材料は当社の真岡製造所で製造され、H型への加工はニコーアルミ工業で行われた    
         
     
H_edge製作のための専用冶具。
チェーンを張りアルミプレートをはめこむ
  《H_edge(ヘッジ)》制作風景
提供:東京オペラシティアートギャラリー

   


 固体と穴、二つの世界が展開された作品

張力と圧力を相互に受けるチェーンは固く動かない。プレートを1枚外しても簡単には壊れないくらい強固なつくりとなっている。高さや構成等は展示するスペースによって変えていくことができ、ほぼ無限に拡大していくことができるそうだ。つまり、決まった大きさやボリュームを持たない作品なのである。

もともとH_edgeはフィラデルフィアのペンシルヴェニア大学の学生らとともにつくられ、ニューヨークのアーティスト・スペースで展示された。その後デンマーク、シカゴ、ピッツバーグ等で展示され、それぞれの展示スペースにあわせた形状で再現されてきた。

奇跡のような作品はどのような考えでつくられたのだろうか。
バルモンド氏はこう語っている。
「H_edgeの基本的な概念は固体と穴、二つの世界が展開されています。立方体を最小単位として、まずは穴の部分をつくる作業から始まります。穴の部分を決めた後で、それから固体の部分をつくります。固体の部分とはアルミプレートとチェーンです。そしてまた穴の部分をつくり、固体をつくるということを繰り返します。たとえるならスポンジのようなものです。スポンジは穴と固体で構成されています。」
ついつい目の前に現れる金属の部分を注視してしまうが、この作品の本質はその空間に存在する空白だったとは。驚かされるばかりである。


どんなつくりになっているのか、しげしげ見つめる人も
 
陰影も作品の一部




●ニコーアルミ工業株式会社 (神戸製鋼グループ)
栃木県真岡市鬼怒ケ丘16番地1
会社案内

機械金属加工:塗装、製缶・溶接、プレス等を行う。
製品:・アルミニウム表面処理材および打抜加工品、アルミ製パレット、アルミ製トレイ、アルミ製看板 等々
 
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