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 セシル・バルモンド氏の思考のなかに潜入

展覧会の会場に入ると、図面や模型がみあたらない。
建築家の展覧会といえば、これらがずらりと並ぶことが多いが、「情報を読んで理解する」展覧会ではなく、「感覚を研ぎ澄ませ身体で考える」展覧会にしたいというバルモンド氏の意向である。

まず、最初に来場者を出迎えるのはバナー展示である。まるで森に足を踏み入れたかのように、さまざまな自然のイメージが天井から吊り下げられており、イメージにはバルモンド氏のスケッチが重ねられていたり、詩のような言葉が散りばめられていたりする。

来場者はたくさんのバナーを手でかき分けながら進んでいくが、ここはいわばバルモンド氏の頭のなか。彼がどのように思考を進めていくかを視覚的に伝えているようだ。
会場には言葉を熱心に書き写す学生の姿がそこ、ここに。みなバルモンド氏の世界を理解しようと熱心である。
バルモンド氏の言葉の一つを以下に記す。

コピー
 
バナー2010
提供:東京オペラシティアートギャラリー




 自然の奥に内在する秩序を理解する

バナーの次は、幾何学模様や数学的な成り立ちを図解するアクリルのグリッドが現れる。バルモンド氏は自然の背後に隠れている秩序に非常に興味を持っている。
たとえば木は自由に伸びているように見えるが、枝が二股に分かれるという動きを繰り返して成長していく。コントロールされたリズムがあるから木は美しいのであって、幹や枝がどれだけ成長して枝分かれしていっても、そこにはある秩序が存在しているのだ。
もちろん自然の秩序をそのまま建築の構造に活かすことはできないが、建築構造におきかえた時、建築にエネルギーを与えるようなシステムをつくれるかをバルモンド氏は考える。
これまでの建築物は自然からは最も遠いかたち、たとえば四角や三角、円などの静的で閉じた空間が美しいとされ、都市には似たような形状の建築物が林立した。しかし現代建築では、複雑さをはらんだ動的で有機的もの、つまり自然により近いかたちを目指す方向に進んでいる。近年のコンピュータ技術の進化や施工技術の向上等も深く関係しているが、これらを駆使し、現代建築の可能性を大きく広げたのがバルモンド氏といわれている。


相互関係にあるグリッドという意味の作品
《レシプロカル・グリッド》2010
提供:東京オペラシティアートギャラリー

   
タイルのパターンや、植物の成長に見られる数列など、さまざまな法則が示される。
    指、節を使った中国の計算法    
 
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