最近ではヒートアイランド現象の影響か、気温上昇とともに激しい落雷が都心で多くおこっている。
日本では1年に50万回ほどの雷が発生している。規模によっても異なるが雷の電圧は約1億ボルト。家庭で使う電圧の100万倍である。こんな高圧に直接あたればひとたまりもない、たいへん危険な自然現象である。
危険な雷の被害を未然に防ぐのが避雷針である。ビルの屋上にそびえる、あの細い棒である。避雷針は地面と導線でつながっており、雷雲発生時には地面の電気を少しずつ放電し落雷を防ぎ、そして万一落雷しても電流を安全に地下に流し、建物を守るという役割を果たしている。か細いながらも心強い設備である。
 
偉大な発明家から生まれた避雷針
避雷針は、1753年に米国のベンジャミン・フランクリンによって発明されたと言われている。あの有名な凧を用いた実験によって、雷を電気によるものであることを証明したフランクリンである。
余談ではあるが、フランクリンは多才な持ち主で、実にさまざまなものを発明している。遠近両用眼鏡やロッキングチェアー、「Time is money」は彼の格言であるが、時間を有効に活用する現代のシステム手帳にあたるものも考案している。また消防隊や公立図書館などを設立するなど、社会整備にも力を尽くした。さらには独立運動に参加し、米国独立宣言の起草者の一人となったことは有名である。
そんなフランクリンが発明したのが避雷針であるが、彼は先端の尖った物体を雷雲に近づけると遠距離でも放電することに気づき、避雷針を製作した。しかしこの避雷針の安全性が確認されるには50年以上の歳月を要した。それは避雷針は雷を呼び込むので、かえって危険であるという誤解からである。ヨーロッパにおいては、あのフランス革命で有名なロベスピエールが避雷針設置の是非を争った裁判に弁護士として関わっている。ロベスピエールは避雷針という新しい技術を擁護する立場で熱弁をふるい、避雷針撤去の判決に対し、最高裁で再審することを認めさせたというエピソードが残っている。
我が国には、発明からおくれること120年以上経て、日本一落雷の多い都市、金沢市にもたらされた。1875(明治8)年に石川県金沢市の尾山神社の神門に設置されたのが最初といわれる。オランダ人医師ホルトマンが避雷針の設置を助言したとされ、この門の最上部には天をつらぬくような避雷針が、その外観に存在感を与えている。
 
電流をいちはやく安全に導く銅、アルミ
現在、日本では建築基準法により高さ20mを超える建築物には避雷針の設置が義務付けられている。避雷針は、屋上などに設置された受雷部と地下に埋設された接地極を導線がつないだ構成となっている。受電部の先端には空中に突出させた突針があり、これが雷の電流を受ける。その突針の材料は、銅、またはアルミニウムが多く使用されている。これは銅やアルミニウムの導電性が高いからである。そして導線も銅またはアルミニウムが、接地極にも銅板等が使用されている。導電性の高い銅またはアルミニウムが電流をいちはやく流し、建物を安全に守るのである。
落雷から身を守るには、まずは建物の中に避難するのが一番である。一般的には夏に多く発生する雷であるが、北陸地方などは冬に多く発生するので、これからの季節も注意が必要だ。

取材協力:(株)ワールド避雷針工業
 
高さ20m以上の建築物には避雷針の設置が義務付けられている。
避雷針は、屋上の受雷部と地下の接地極を導線がつないだ構成となっている。
受電部の先端にある突針や導線、接地極などには銅等が多く使用されている。
 
 
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