平安遷都1200年。京都の悠久の歴史は、多彩な伝統文化を生み、今なお独自の世界観を創り上げている。 。 その一つに型友禅染めの着物がある。
 

型紙の上から色付けしていく作業
 
型友禅は、まず図案から始まる。その図案を、柿の渋で2 〜3枚張り合わせた和紙に彫り型紙とする。型紙は模様の種類などによって、一枚の反物で30枚から100枚もの数に及ぶことがある。次は地張り。6mほどの長い木の板にモチ米で作った糊を薄く塗り、生地を張っていく。その上に型紙を置き、染料をヘラやブラシで刷り込んでいくのだが、この型置きと言う作業は型紙の枚数分繰り返される。その後、地染め、蒸し、水洗、湯のし、の工程を経て仕上げられる。
 
 

作業を楽にした、木の枠からアルミの枠へ。

型友禅の重要な作業は型置きである。6mの長い木の板に張った生地に型紙を置き、色を付けていく。その際、型紙を枠にはめ絵柄がずれないようにして、右から順番に左へ6m移動させ色付けをしていく。今までは木の枠に型紙をはめていたが、木枠は重く大変な労働であり、また、木はゆがむこともあり修正の必要もあった。そこでアルミの登場となった。
アルミは軽い、ゆがまない、絵柄によってサイズも大小簡単に作れるなどアルミの特徴が生かされている。これで、職人の型置き作業は木枠を使用していた時に比べ大分楽になったと言う。取材に協力していただいた京都市右京区にある正木染工株式会社では、アルミの枠を使用してから20年以上経つ。正木染工で使用している最大のアルミ枠は、横幅1m30cmもあり、このサイズは、職人が扱う限界の大きさであるとも言う。
使用した型紙は20年から30年間保存されるが、倉庫には膨大な数の型紙が保管されている。 現在、図案をフィルムにやき付け和紙の型紙に代えていることが多い。これは、図柄や染料に混ぜる糊の盛り具合で使い分けしているが、型を彫る「彫り師」の後継者の減少にもその理由がある。どの職人の世界でも後継者が課題となっている昨今である。
 
   
木枠に入れた型紙   アルミの枠に入れた型紙  

倉庫に保管されている型紙

 
 
お姫様が登場しない源氏蒔絵。
正木染工の会長である正木道保氏は、厚生労働大臣より「現代の名工」に選ばれた型友禅師である。毎年開催されている [ 京の名工展 ] に平成16年度出展した作品に「初音蒔絵」がある。源氏物語がモチーフであり、御殿、庭、水、四季の花が咲くのどかな模様が型友禅染めとして描かれている。師は言う「源氏物語と言うと、必ずお姫様が出てきますが、この作品には登場していません。理由はお姫様の目を思うように型友禅で描くことが難しい、うまくいきません。」だが、 作品は源氏物語絵巻の雅な美しさに満ちている。こうした師のこだわりが京都の伝統文化を、今に輝かしている。
 
 

正木染工株式会社会長
「現代の名工」
正木保道氏

 

お話を聞かせていただいた
正木染工株式会社
畠山民男氏

     
 
厚生労働大臣からの表彰状   染め上がりの型友禅
源氏物語「初音蒔絵」の型友禅
 
取材協力・正木染工株式会社
 
 
copyright (C) kobelco all rights reserved.