まさに“風と一緒に走る!”という言葉が似合うスポーツバイク。一度その爽快感を味わったらやめられない、と多くのスポーツバイクファンは語る。そして、日本のスポーツバイク技術には定評があり、日本製は世界で人気を博している。そのようなバイクの高機能性やデザイン性を支えているのがアルミ素材だ。

 現在、スポーツバイクにおけるアルミ使用比率は、鉄製フレームの中小型車両で25%、大型車両になると40%となる(ちなみに、生活の足として活躍するスクーターは10%)。大型車両では、あまり強度が求められず軽量化できる部品は殆どがアルミ素材を採用。結果として、外から見える部品はほぼアルミ素材でできているといっても過言ではない。

 アルミのメリットとしては、熱伝導率の良さや軽さ、生産性、リサイクル性の良さといったことがあげられる。もちろん、これらの優れた特性は、現在ますますニーズが高まっている環境問題への対策へとつながる。また、近年、アルミの不純物を減らして有害性のあるクロム化合物を無くす技術が進み、ますます環境に優しい素材となっている。

 こうした環境対策と同時に、アルミは低コスト化にも貢献している。それに大きく関わったのが、大型で薄肉のものができるダイキャスト技術の開発であった。ダイキャスト技術のおかげで、鉄からのアルミへのシフト、および従来のアルミ部品の一体化が進んだ。アルミの場合は剛性が足りないというデメリットもあるが、そこは、さまざまな工夫がされている。フレームでは大きく面を張って剛性を補い、なおかつ中にエンジンを設置。エンジンを剛性部品として利用し、それを抱え込むことにより、さらに剛性を出すことを実現している。従来の鉄のフレームとは、まったく考え方が異っているのである。

 
 
 

 アルミには他にも、デザイン性の良さというメリットがある。例えば、滑らかな曲線を描ける素材というのは、アルミならでは。“いろいろな金属素材の中でも、アルミだけが自己主張できる金属である”という人もいる。こうした、アルミらしさというのは、スポーツバイクのデザインにも大いに生かされている。性能とともに、デザインの良さもまた人気の理由のひとつであり、特にヨーロッパではファンが多い。アルミ素材は、地肌そのものに味があり、魅力を感じるという意見も多いようだが、残念ながら近年の流行は黒塗装であるという。性能と同様にデザインはレースからフィードバックされた意見が取り入れられるが、一時期レースでブラックカラーのスポーツバイクが多く出場し、それが“ボディがしまって見えて格好良い”と人気が高まったことで、現在は黒いフレームがメインとなっている。

 スポーツバイクでは、馬力当りの荷重がいちばんトップのカテゴリーで1kg/psあるという。これは180キロの重量で、180馬力ということで、飛行機と同じぐらいであり、常にジェット戦闘機なみの最先端の材料を使って軽量化が進められるという。スポーツバイクは、これからも環境対策や乗り心地、デザイン性を向上するため、積極的にアルミ素材を採用していこうという動きがある。時には過酷なレースにも勝ち抜く、優秀なスポーツバイクが、これからも日本から生まれていくのだろう。

取材協力:ヤマハ発動機株式会社

 
 
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