TOP特集新製品・新技術歴史を見たマテリアル【新】こんなところにアルミ・銅
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事件の一報を受け、捜査班が現場に駆けつけると、鑑識官がいたるところで熱心にブラシを動かしている。ドアノブやテーブル、コップなど、指紋がついていそうな場所にパタパタとブラシに付着させた粉を振りかけている。サスペンスドラマではお馴染みのシーンである。指紋検出は犯罪捜査の基本であり、広く利用されてきた方法だ。  
アルミニウム粉末を使って指紋を検出する自由研究用キットも販売されている。
写真提供:学研
 
拇印がヒント!?唯一であり、不変である指紋
この世に同じ指紋を持つ人はただ一人として存在しない。
たとえ見た目がそっくりの一卵性双生児であっても指紋は同一ではないのだ。そして加齢により身体が成長しても、指紋は変化しない。指紋は母親のおなかにいる3か月くらいの胎児からでき始め、4〜6か月で完成するそうだが、そこで刻まれた指紋は一生涯、不変なのである。なんとも不思議な印だ。この性質を利用して、指紋は犯罪捜査や個人認証に役立てられてきた。
そもそも指紋についての研究は、1684年イギリスのネヘミヤ・グルー博士が指と手の平の溝構造に関する論文を発表したことが最初といわれ、その後、多くの学者が指紋の研究に取り組むこととなった。
そして、個人の識別に指紋を役立てることを考えたのがイギリスのヘンリー・フォールズ医師である。フォールズは日本の築地病院で働いた経緯を持つが、日本人が拇印を押す習慣に強く興味を持った。そしてある日、友人の土器発掘を手伝った際に土器の表面に付いていた古代人の指紋に関心を持ち、指紋の研究を進めた。そして研究の成果は世界に発表され、同じ指紋を持った人は存在せず、終生不変であることから、個人識別に利用できることを主張したのである。
その後、指紋の複雑な模様の分類方法が確立されるようになって、個人識別の有効な手段として指紋は用いられるようになった。

多種多様な指紋はどのように分類されるのだろうか。
一人ひとり異なる指紋であっても、人種によってある程度の傾向がみられる。日本人に多いのは渦状紋(かじょうもん)、蹄状紋(ていじょうもん)と呼ばれるもので、渦状紋はうず巻き状の線で構成され、日本人の約5割がこのタイプにあたる。蹄状紋は右もしくは左のどちらかの方向に馬のひづめの形をして流れている指紋で、日本人の約4割がこのタイプとなっている。

指紋の照合は、線が始まっている「開始点」や止っている「終止点」、線が分かれている「分岐点」、線が交わっている「接合点」などの鮮明に確認できる特徴点を複数抽出し、これを対象者の指紋から同じ部位の特徴点を抽出し、一致するか矛盾がないか確認される。一つの指紋には約100の特徴点が存在するとされ、そのうち15点くらいの特徴点が一致する確率は100兆人に一人とも言われている。

 
捜査に役立てられてきたアルミ粉末
では、現場に残された犯人の指紋はどのように採取されるのだろうか。指紋検出でよく用いられているのがアルミパウダーを用いた方法である。調べたい部分に専用のブラシで丁寧にアルミパウダーを定着させ、特殊ゼラチン等に転写する。
アルミパウダーにはシリカやタルク、カオリンなどが混ぜられており、指紋に含まれるダストをキャッチし、またアルミ微粉末をつなぐ役割をする。アルミ微粉末は吸湿性がなく、粒子が細かいため、最もポピュラーな指紋検出用粉末として利用されている。

最近では、自由研究用として指紋検出キットが販売されていたりもするようだ。ブラシを使ってアルミ微粉末をパタパタと振りかけ、コップ等についた指紋が検出できる。
あなたの指には一体どのような模様が刻まれているだろうか。それは世界で唯一無二の存在。どんな身分証明書にも勝る、あなたのアイデンティティを証明するものである。
ちなみに、指紋を隠そうと皮膚をはがしたとしても、皮膚の再生時には元通りの指紋が復元されるそうだ。悪いことはできないものである。
 
 
 
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